缶詰の謎と歴史|身近なものだけど知らないことが多いのです

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缶詰の歴史にゅーすTips

身近にある缶詰。

魚の缶詰だけでなく最近ではいろんな缶詰が開発されています。

料理の時短材料になるだけでなく、非常時にも強い味方になりますね。

今回は、知ってるようで知らない「缶詰」の謎と歴史について書いていきます。

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缶詰の定義と年間消費量

缶詰とは

食品を缶に詰めて密封したのち、加熱によって食品の腐敗のもととなる微生物を加熱殺菌し、常温下での長期保存性を与えた食品。

のこと。

ただ缶に詰めただけでは缶詰とはいえません。

加熱殺菌という処理をしたものだけが缶詰と呼べるようになります。

缶コーヒーなどの飲料も缶詰の仲間です。

 

日本での年間消費量

年間400万トン以上が消費されていると推定されています。

国民1人当たりの年間消費量は約31.8kg、これは250g容量に換算すると127缶になります。

こんなに缶詰食べてないよ、って感じですよね。

これには、缶コーヒーなどの飲料が含まれています。

飲料を除く食料缶詰、びん詰では、約8.3kg、33缶です。

公益社団法人 日本缶詰びん詰レトルト食品協会資料より

 

年間で30缶くらいなら食べているかな。

それにしても、すごい量です。

缶詰の歴史

戦争が缶詰を発明した

かのナポレオン・ボナパルトはヨーロッパ各地へ遠征を繰り返したが、彼を悩ませたのが兵隊に送る食糧補給の問題でした。

そこで、フランス政府が懸賞をかけて陸軍糧食となる食品保存技術法を募集しました。

1804年にニコラ・アペールが発明したのが食品をガラス瓶に入れて丸ごと加熱殺菌する「瓶詰め」です。
ニコラ・アペールに12,000フランの賞金が与えられたとのことです。

これによって食料は何ヶ月も保存できるようになりました。

 

戦争時には食料の調達が勝負を決めることになりますので、大量生産ができて長期保存が可能な缶詰は重要なものだったようです。

やはり、軍事産業だったのですね。

 

しかしガラス瓶は重い上に割れやすく、戦場では保管に困るようになりました。

そこでガラス瓶にかえてブリキ缶での保存が考えられました。

ついに1810年、イギリスのピーター・デュランドが缶詰の仕組みを発明しました。

 

発明から3年後、イギリスに世界初の缶詰工場が造られます。

当初は工員1人が1時間に5〜6個しか作れなかったので当時は高級品でした。

 

その後、缶詰の技術はアメリカ大陸に渡り、ここでもアメリカ南北戦争でも使われることになります。

軍用食料としての缶詰の需要が急に増え、当時約4,000万缶の生産をみるようになりました。

 

身近にある缶詰。200年以上の歴史があるんです。

 日本の缶詰の歴史は?

さて、日本では1871年に長崎で松田雅典という人がフランス人の指導で、いわしの油漬缶詰を作ったのが始まりとされています。

松田雅典

1877年には、北海道で缶詰工場が誕生します。

北海道開拓使石狩缶詰所で日本初の「さけ缶詰」が製造されました。

その後缶詰が工業的に生産されるようになり、昭和の初期には、さけ、かに、まぐろ、いわし、みかんなど魚介類の缶詰ができます。

当時は、輸出品として海外へ輸出されていましたが、昭和30年ごろから国内向けが多くなり、いまでは、野菜、肉、おつまみ、オイル漬けなど、さまざまな缶詰ができました。

日本初のサケ缶詰ラベル
(所蔵:北海道立文書館)

日本は、世界でも類をみない缶詰大国です。

缶詰のいいところ

なんといっても長期保存ができる点が一番でしょう。

味も栄養価もそこなわれないのも魅力ですね。

本格的な料理にもちょっとしたおつまみにも手軽に食べることができます。

 

そして、長期保存できるから非常食としても注目されています。

缶詰の謎

缶詰の賞味期間は?

ほとんどの缶詰の賞味期間は製造されてから3年間を設定しています。

これは加工食品の中では極めて長期間で、他には「パスタ」や「サバイバルフード」のような乾燥食品くらいです。

では、「賞味期限」の日付を過ぎた缶詰は一体どうなってしまうのでしょうか。

腐って食べられなくなってしまう?

缶詰は、「容器に密封して加熱殺菌」という製造過程を必ず通ります。

缶詰は食品を腐敗させる菌が中にいませんので「未開封であれば半永久的に保存可能」と言うことができます。

しかも、保存料や殺菌料は使っていません。

賞味期限とはおいしく食べられる期限、という意味で保存期間とは別です。

ただし、開封してしまうと当然ながら保存は効きませんのでご注意ください。

缶詰は改良を重ね、今では「缶自体が錆びたり穴が開いたりしなければ中身は何十年でも保つ」と言われます。

実際、香川県の小豆島で見つかった赤飯の缶詰は71年前に生産されたものだったが、専門機関が分析しても特に細菌は見つからなかったそうです。

缶詰と缶切り

缶詰が普及したのは、1810年。

缶詰を開ける缶詰が発明されたのは、なんと1858年。

48年間の間、缶切りがないまま缶詰ライフを送っていたのですね。

 

どうやって缶を開けていたのでしょうか。

ナイフやドライバー、のみなどで蓋をこじ開けてたそうです。

当時は主に戦場で利用されていたので、開ける道具には困らなかったのかもしれません。

あらっぽい兵士は銃で缶詰を引き飛ばしていたとか。

高級品なので、お金持ちは執事に開けさせていたのでしょうか。

いまでは缶切り自体必要なくなっています。プル缶で指一本で開けるタイプがほとんどです。

とはいえ、未だ開封に缶切りを要する缶詰も流通してます。

日本でも陸上自衛隊の食料品として空中投下に耐えるため、完全密封の缶詰が存在します。

まとめ

現在では、缶詰は魚介類だけでなく果物、野菜、焼き鳥、アヒージョなんて種類が豊富にになってきました。

身近にある缶詰ですが、200年以上も前からあったなんて感慨深いです。

日々の料理や災害時の非常食にもなってくれる「缶詰」

少し見直してみてはいかがでしょうか。